契約書に必要な押印
契約当事者の署名・押印
契約書がどんなに緻密に作成されていても、当事者の署名・押印を欠けば、ただの契約内容の書かれた紙でしかありません。契約当事者は、契約内容を確認し合意したら、その旨を証するため、契約書に署名して押印をします。署名(自筆)でなく記名(印字)でもかまわないのですが、やはり契約書の場合は署名のほうがいいでしょう。記名・押印では、「印鑑を勝手に使用された」と主張される場合もありますので、署名であれば、争いを避けることができます。契約書には署名のほかに、住所、商号、本店所在地なども記載することになりますが、これらすべてを自署するとなると時間もかかりますし、書き間違えなども起こりやすくなりますので、氏名以外を印字しておいて、契約の立会いの場で、当事者の氏名だけを自署・押印というのがスムーズで良いのではないでしょうか。
契印(割印)
契約書面が2枚以上になったとき、これらが一体のものであることを示すために、契約当事者双方が契印(割印)をします。
上記のように、書面のつなぎ目すべてに、割るような形で押印します。契約当事者の一方が、複数である場合は、その内の1人が押印すれば足りますが、よほど多くない限り全員で押印したほうがいいでしょう。また、契約書面が数枚なら上記の方法でも問題ありませんが、契約書によっては数十ページに渡るようなものもあります。このような場合にすべてのページを押印でつなぐのは苦行のようなものです。そのような時は、「袋とじ」という方法で書面をつなぎます。
上の図のように、契約書類をホッチキスで綴じた後、別紙(図のグレー部分)で挟んで糊付けします。その別紙と契約書面との境目(表と裏両方)に押印する方法です。別紙の部分は、市販の「製本テープの契約書用」というものが便利です。
(製本テープは契約書用でないものもありますが、朱肉をはじくものは使用できません。)
このほか、2通以上作成した同じ証書の同一性や関連性を証する場合の契印もあります。
上の図と同じように押印しなければならないわけではなく、どこで繋いでもかまいません。
訂正印
契約書の記載の誤りを訂正したときに押印します。詳しくは、契約書の訂正方法 をご覧ください。
消印
契約書によっては、印紙税が課せられます。契約当事者は、課税の対象になる契約書を作成した場合には契約書に収入印紙を貼付し、消印しなければなりません。
印紙を貼ること自体もですが、貼るだけで、消印を怠っているとペナルティがあります。課税文書には必ず収入印紙を貼付し消印をしましょう。
印紙税については、契約書に貼付する印紙 をご覧ください。
捨印
委任状や契約書などの欄外に押印するもので、押印の仕方は訂正印の間接法と同じです。
ただ、訂正印は、誤りや変更があるときに押印しますが、捨印は、訂正箇所がないのにあらかじめ書面に押印しておくものです。この捨印のある証書を渡すのは、白紙委任状を渡すのと変わりありません。なるべく押さないのが得策です。
<参考> 契約書の訂正方法